杉沢遺跡等を訪れた際に、是非見逃さないで頂きたいのが、これからご紹介する二つの山陰道切通しです。
いずれも出雲市斐川町三絡地内。
関係書ではさらっと触れられているだけですが、
訪れてみて痕跡の残り具合の良さに度肝を抜かれました。
まずは杉沢遺跡等との位置関係は下図の通り。チ地点とリ地点がそうです。
(※以下、写真・図は断りのないもは全て、出雲市教育委員会「出雲市の文化財報告33 出雲国古代山陰道発掘調査報告書 出雲市 三井Ⅱ・杉沢・長原遺跡の調査」2017年
より)
![image](https://64.media.tumblr.com/d0d592cc4ee9b47b8b019c7b77de7ce4/tumblr_inline_pk9cr8Sqk91r4rrp5_540.jpg)
kashmir3Dで微地形もご覧ください。青線が駅路ルートです。
![image](https://64.media.tumblr.com/d6fd5c920c922ec800f2c04b997b5e22/tumblr_inline_pk9dqvC89S1r4rrp5_540.jpg)
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では、東側のチ地点からご紹介しましょう! 畦道をぐるっと回って西側から近づきます。
![image](https://64.media.tumblr.com/2682da180afc22a0c09a62e9060cac37/tumblr_inline_pk9dfkjWIm1r4rrp5_540.jpg)
暗くて切り通しが見えにくいですが、手前にも駅路痕跡とされるテラス状の平坦面が広がっています。さらに、進むと・・・。
![image](https://64.media.tumblr.com/d96a27719279fa119bea5fda2a52dac3/tumblr_inline_pk9dsmRmcP1r4rrp5_540.jpg)
丘陵先端部で幅約6m、長さ約20mに渡って続く切通しです。反対側からもどうぞ。
![image](https://64.media.tumblr.com/32d95288a4bbe9fe4e21507ff6f4ce91/tumblr_inline_pk9dzvJ4ov1r4rrp5_540.jpg)
山陰道は約9m幅が標準と考えられていますから、やや狭い印象です。本来の路面はもっと上で後年に切り下げられたのかもしれません。
お気づきの通り、ここって本当に丘陵の最先端部です。ほんの少し迂回すれば面倒な工事は避けられたはずです。実用性を超えた直線性への拘りがいかにも駅路らしく、微笑ましく感じました。
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さて、次のリ地点へと向かいましょう。建屋の向こうの凹んだ辺りがそうです。
![image](https://64.media.tumblr.com/13d728c2197e57345ebc02a5bf35d9ce/tumblr_inline_pk9ea30F7r1r4rrp5_540.jpg)
畦道をさらに東に進み谷状の地形に踏み込むと・・・。
![image](https://64.media.tumblr.com/5e25bd7584084fb4b2a5c0c98b2463a2/tumblr_inline_pk9ed1J4ji1r4rrp5_540.jpg)
竹林の中に見事な切通しが残っていました。kashmir3dで標高差を調べると、丘陵尾根を4-5m削る大工事が行われたようです。
頂上部分にはテラス状の平坦面も確認できます。幅7mの切通であるとされています。
生活道路として使われるうちに片側がV字型に凹んでしまったようですね。右下の境界標にご注目!
![image](https://64.media.tumblr.com/e6b92f0207fb6ebd3dabcba029833ffd/tumblr_inline_pk9eemKqfH1r4rrp5_540.jpg)
下は振り返って見たところです。
![image](https://64.media.tumblr.com/975ea1deba2c3c150c6c5dc0ac98fcfb/tumblr_inline_pk9eutzo2Y1r4rrp5_540.jpg)
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もし関東にこれだけのものが残っていれば、当ブログでは“国宝級”の認定をしたことでしょう。地元の皆さんがうらやましい!(笑)