現地レポート

常陸国の古代駅路 ④五万堀古道遺構周辺の切り通し痕跡

五万堀古道遺構の延長ライン上に、駅路に特徴的な痕跡地形を見ることができます。渡河地点へ下りるための直線的な切り通しです。

また切り通しか!、とお嘆きの声が聞こえてきそうです(笑)。まあそうおっしゃらずに、ご覧下さい。なかなかお目にかかれない優良物件です。

まずは、涸沼川へ下りる南西側から。

連続したW切り通しです。厄介な地形を迂回しようという迷いを感じさせない直線ぶりにシビレます。

写真は北(上)の方からどうぞ。

現道右側の長細い畑まで含めて、かつて駅路として使用されていたのでしょう。各地の道路痕跡でよくあるパターン。緩やかで一定の勾配もいい佇まいです。

下段の切り通しは、丘を真っ二つに切り崩して作られています。古代国家の男気を感じませんか?(笑)

これって近現代の工事跡じゃないの?、とお疑いのあなた、ごもっともです。では、駅路が通っていた証拠の航空写真をご覧下さい。ついでに、明治期に作られた迅速測図もどうぞ。

出典:歴史的農業環境閲覧システム(農研機構農業環境変動研究センター)

次に、北東側の渡河地点を挟んだ切り通しもご覧下さい。

これは新しい道でしょ?、とおっしゃるあなた、正解です。写真は川の北側ですが、迅速測図当時の道は、写真右側の緑の路肩部分です。

対岸の南側には道が見えません。しかし、よ~くご覧下さい。駅路遺構の延長ライン上にちゃんと切り通し状の地形が描かれています。

出典:歴史的農業環境閲覧システム(農研機構農業環境変動研究センター)

おそらく荷馬や荷車が通行するには傾斜がきつすぎ、斜めに坂を上る迂回路が開かれたのでしょう。取り付き部分が河川の増水で流されてしまったのかもしれません。

後世の車道が古代の駅路痕跡を再利用したというのは、なんだか象徴的ですね。

最後に、全体を俯瞰した立体地図をどうぞ。

つづく

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