現地レポート

常陸国の古代駅路  ⑥安侯駅家から国府へ伸びる直線痕跡

凹道探索の教科書を書くとしたら、演習課題として真っ先に取り上げるであろう区間です。安侯駅家の遺称地と考えられている「安居(あご)」地籍から南西方向となります。

なんといっても発掘調査済みの遺構や旧版図、大字境界など、ルート推定の手がかりが豊富。残存地点もおおまかに予測できますから、後は携帯型GPSを持ってフィールドワークするのみです。

下の写真が、その成果です。約150mに渡って続いています。立派でしょう?(笑)。五万堀古道遺構の幅からすると、クルマの通っている現道まで含めて駅路であったと推測されます。

あんまりうれしかったので、動画も撮ってきました。

このホリワリにたどり着くまでのプロセスは以下の通りです。

1. 新バイブル『地図でみる東日本の古代』からおおまかな推定ルートを地図へ転記。

安侯駅周辺
島方洸一 企画・編集統括『地図でみる東日本の古代 律令制下の陸海交通・条里・史跡』平凡社 2012年
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2. 五万堀古道遺構で検出された駅路のラインで微修正。

3. 迅速測図に見える直線的な道路を参考に微修正。

安侯駅周辺_迅速測図2
出典:歴史的農業環境閲覧システム(農研機構農業環境変動研究センター)

4. Googleマップ等で確認できる直線的な大字境界を参考に微修正。

5. 米空軍撮影が戦後撮影した航空写真を参考に微修整。

USA-R678-108_19471212_安侯駅南

6. 駅家比定地や渡河地点などに転向点を仮定して微修正し、暫定ラインとする。

7. 5mメッシュ(標高)データで立体地形図を作製し、暫定ラインを地形面から検証。

安侯駅周辺_カシミール俯瞰

8. Googleマップの航空写真で、ホリワリが残っていそうなポイントをチェック。

9. 暫定ラインのデータを携帯型GPSへ読み込み、フィールドワークへ。

今回は長距離遠征でしたので、ここまで入念に準備しましたが、いつもはかなり適当です。ここまで手がかりがそろうこともめったにありません。現地の案内板が一番参考になったりもします。

例えば今回は、小美玉市納場の泥障塚古墳群がそうでした。暫定ルートは新興住宅地に消えており、痕跡も残っていないものと思っていました。ところが、案内板の地図に「古代東海道跡」の記載が。

IMG_0174

え~、残ってるの?! 林から駆け出すと、ちゃんとホリワリが生活道として残っていました。林内にも細長い平坦地がありますから、ここまで駅路だったことでしょう。超ラッキー!(笑)

IMG_0178

最後に、Googleマップに推定ルートを落としたものを掲載しておきます。このGPXデータを地図アプリに読み込めば、スマホを携帯型GPSとして使い凹道探索できるはず。

なお、現地では、安全確保の上、大人のマナーをお守り下さいね!

つづく

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