本で紹介されている道路痕跡を訪ねたが既に開発で消滅していてがっかり、ということはよくあります。でも今回はその逆のラッキーなケースでした。
場所は、1990年代に山陰道が見つかった松本古墳群Ⅰ区(松江市乃木福富町)の東。典型的な切通し痕跡としてよく取り上げられるここです。(中村太一「日本の古代道路を探す」2000年)
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故・木下良先生の「事典 日本古代の道と駅」(2009年)では消滅したように書かれており、全くノーマークでした。
ところがどっこい(古い?)、しっかり残っていたのです!
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反対側からもどうぞ!
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おまけに、Google Earthで俯瞰したものもどうぞ! (笑)
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いやー、失われたはずの“幻の切通し”にお目にかかれたことに感謝感激です。どうやら木下先生がお書きになっていたのは松本古墳群Ⅰ区の方だったようです。
せっかくですので、遺跡の方の発掘当時の写真もご覧下さい。(建設省中国地方建設局松江国道工事事務所・島根県教育委員会「一般国道9号松江道路(西地区)建設予定地内埋蔵文化財発掘調査報告書3」1997年より)
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大規模な工事によって幅10m前後の平坦面を作り出しています。そこからさらに掘り込まれ二段構造になっているのが気になりますが、中村太一さん(北海道教育大教授)が前掲書で下図のような解釈をされています。
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時代が下り大規模な道路が不要になり、幅員の一部だけを利用した例はよくあります。
なお、さきほどの切り通しの西には、遺跡を彷彿とさせる谷型の切通しが今も残っておりました。
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片端(左)が掘り窪められ石段が敷かれて生活道として使用されていたようです。
丘陵上から下へと、何枚かどうぞ。
立ち木が邪魔をして、写真では地形がわかりにくいかもしれませんが、100%間違いない山陰道の痕跡地形です。
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千数百年の時を経た駅路遺構がどんな地形となって現代に残るものなかのか・・・、実地で学ぶことのできる貴重な場所がここにあります。