古代道路のルートを想定する上で、縦断勾配(坂道の傾斜)は重要な手がかりとなります。アリかナシかの判断で、私は傾斜25度を一つの基準としてきました。
故・木本雅康氏が栃木県の東山道駅路「将軍道」で例証されています。(鈴木靖民・吉村武彦・加藤友康編『古代山国の交通と社会』)
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気持ちのよい丘陵上の凹道を、北東に向かって歩いて来ると、突然、崖にぶつかります。(写真は振り返ったところ)
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しかしながら、崖下となる第8調査地点(下図)でも道路遺構が検出されているそうで、かつてはこのまま直線的に道が延びていたのは間違いありません。
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氏はAからBへの坂道の平均傾斜が25度であるとし、野生馬の観察記録も例にして、「下馬しなくとも、駅使はこの程度の坂道であれば通行が可能であったであろう」とされています。
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さらに、氏は、東海道駅路の日本坂、北陸道駅路の倶利伽羅峠に25度以上の部分が存在することも言及しています。
今回の傾斜データの図化は、カシミール3Dを使用しました。これもGIS(地形情報システム)利用です。